その他

基本情報

氏名 関川 伸哉
氏名(カナ) セキカワ シンヤ
氏名(英語) Sekikawa Shinya
所属 総合マネジメント学部 情報福祉マネジメント学科
職名 教授
researchmap研究者コード
researchmap機関

タイトル・テーマ

脳卒中片麻痺者に対するフォアフットロッカーアシスト装具の評価

単著・共著の別

その他(発表学会等)

発行又は発表の年月

202107

発表学会等の名称

日本義肢装具士協会学術大会(名古屋)

概要

日本では高齢化率上昇に伴い脳卒中患者が118万人と増加している.そのため歩行支援のための短下肢装具の需要が高まっている.
正常歩行においてはヒールトロッカー,アンクルロッカー,フォアフットロッカーは3つのロッカー機能1)によって円滑な歩行が可能とされる.しかしながら脳卒中患者ではこれらの機能が破綻するため,円滑な歩行が困難となる.
脳卒中患者のヒールロッカー相では,背屈筋群に比較して底屈筋群の底屈力が強いためにつま先接地になることがある.そのため装具は基本的に背屈保持が必要であり,かつ初期接地時の衝撃に対して,装具が底屈方向に変形する際にブレーキがかかるような機能が必要2)となる.この機能は後方板バネ支柱のPLS(Plastic leaf spring)に代表される.
正常歩行のアンクルロッカー相では,下肢全体が前傾していく時期と一致するが,足関節を固定するようなAFOでは下腿部前傾の邪魔をしてしまい,結果として膝関節は伸展傾向となる.
3つ目の相であるフォアフットロッカーは,正常歩行においてはターミナルスタンスと一致する.ターミナルスタンス相は単脚支持期に踵が挙上し,反対側の初期接地まで続くものである.しかしながら,脳卒中患者では筋力不足を生じているため,単脚支持期の踵挙上は見られない.そのため前方への推進力が低下することに加えて,遊脚初期のつまづきによる転倒も多い.
近年ではカーボン製支柱の装具が流通している.この装具はカーボンの変形によるエネルギー蓄積と放出によってエネルギーを開放し,蹴りだしを補助しようとしている.しかしながらキックのためのエネルギー蓄積のためには,下腿前傾によって装具は背屈方向に変形させる必要がある.脳卒中患者は筋力が弱く背屈方向に変形させるだけの能力がないのが実際である.
また,カーボン支柱装具は下腿前傾によって受動的にエネルギーをためることになるため,開放エネルギーは下腿を後傾させる力に作用する.
 我々は脳卒中患者にターミナルスタンスを作るには,足関節にアプローチするのではなく,足部MP関節に対して支援する必要があると考えた.