現在，高齢者福祉施設（以下，施設）入所者の約8割が，要介護4・5と施設全体の重度化が指摘されている．施設利用者の重度化に伴い，日常での車椅子利用者の数も年々増加傾向にある．一方で，2005年度から実施している我々の調査・計測・臨床介入の結果から，現状の国内外の車椅子では，大きさや調整範囲等の問題から施設入所者に望ましい身体・環境への適合状況をつくりあげるには限界があることが明らかとなった．そこで，上記の問題解決をはかることを目標に，施設で用いることを前提とした新たなモジュラー・アジャスタブル機能付き車椅子の開発を試みた１）．開発車体は，現状の施設課題の解決を目的に使用対象者及び使用環境を限定することにより，機能の集約を図った．2011年から10台以上の試作を行い，複数施設での臨床評価を重ね2015年度に高齢者福祉施設特化型車椅子PS-1（以下，PS-1）として製品化に至った．PS-1は，現在，4施設に導入されており，導入後も定期介入を繰り返し，臨床評価を実施してきた．今回は，今年度製品化されたPS-1の現状までの臨床評価結果について報告する．
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関川 伸哉，大貫 知行，佐々木 康尊
