現状の課題解決を目的に図1に示す複数の取組を行ってきた1)2).2005年度からは,施設に伺い施設スタッフの方々と共に個々の利用者に車いすを適合させる施設内事例検討(図1 ①臨床介入)を実施している.施設内事例検討を通して,改めて適合支援の重要性が明らかとなった一方で,現状の国内車いす規格の多くは成人男性を基準としたものであり,高齢者の身体寸法・身体特性および使用方法・使用環境が考慮されていないことが明らかとなった.そこで,施設における車いす利用者300名以上を対象に,車いす適合時に必要となる身体寸法値の計測,利用者特性や現状の使用車いすの適合状況等について調査を行った(図1 ②課題整理)3).調査結果をもとに,施設利用者の実情を踏まえた車いすの開発(図1 ③車体開発)4)および開発車体の有用性確認のための評価手法の確立(図1 ④評価手法の確立)を行った.
本研究では,④評価手法の確立で作成した評価方法を用いた臨床評価を実施し,開発した車いす(③開発車体)の有用性の確認及び製品化に向けての課題の抽出を行うことを目的とした.
pp.126-127
関川 伸哉,佐々木 康尊,大貫 知行