前回までに,義肢装具士の研究の必要性と研究を行う上での基本的事項について解説してきました.最終回の今回は,最近の義肢装具士養成校の卒業研究を取り上げ,具体的研究事例を紹介したいと思います.事例を示す前に,研究の基本的な枠組みについて確認しておきたいと思います.一般的に研究は,①研究の背景,②目的,③方法,④結果,⑤考察,⑥まとめ,⑦今後の課題から構成されます.①研究の背景とは,日々の臨床や学習を通しての問題や疑問を指摘し,次に示される目的が何故生まれたのかを明らかにするものです.すなわち目的に至る過程の説明といえます.研究の背景は,研究の目的を理解する上でも重要な項目です.②研究の目的では,一連の研究を通して明らかにすべき点や改善すべき点等を明確に示します.③方法では,上記の目的を達成するために具体的に何を行うのかを示します.以上の①研究の背景,②目的そして③方法までを的確に組み上げることが重要(枠組み)であり,ここまでの過程がしっかりとできあがれば,研究の大半が完成したといっても過言ではありません.
pp.229-234