高齢者の次世代型車椅子PS･1-Smileの開発

JSPO 第38回学術大会（新潟）

現在，介護老人福祉施設をはじめとした高齢者介護施設（以下，施設）入所者の大半が，日常で車椅子を使用している．一般的に車椅子は，下肢機能が障害され歩行が困難な場合の移動手段として用いられる．しかし高齢者は，下肢機能の低下はあっても障害されているケースは決して多くはない．また，施設入所者の多くは，日中生活の多くを車椅子上で過ごしており，移動手段以上に座位目的で使用される傾向がある．そのため高齢者の車椅子は，一般障害者が用いる車椅子とは異なる視点から考える必要があり，必要な機能も異なる．我々は，高齢者の車椅子に必要な機能を整理し，施設等で使用することを前提としたわが国の高齢者のための車椅子Posture Solution （以下，PS･1）を開発し，臨床導入・評価を繰り返してきた．その結果，生活改善等がみられた一方で，複数課題が明らかとなった．また，PS･1は，デザイン性には優れているが，量産には不向きな機構となっている．本研究では，上記課題の解決及び量産可能な新型モデルの開発を2018年から開始し，2022年に完成したPS･1-Smileについて臨床評価結果を含めて報告を行う．