虚血侵襲後のスナネズミの海馬スライス標本を用いて、ホールセルクランプによりCA1野ニューロンの膜電位ダイナミクスを記録し、細胞死への細胞内シグナル伝達系の関与を調べた。細胞内シグナルIP4の産生を阻害すると、虚血後のニューロンに特徴的な、興奮性入力による持続的な脱分極は起こらなかった。さらにIP4を細胞内に注入すると、持続的脱分極は著しく促進された。細胞死の過程でIP4が重要な役割を果たしていることが示唆された。
pp.291-297
H. TSUBOKAWA, K. OGURO, H. P. C. ROBINSON, T. MASUZAWA, T. S. G. RHEE, T. TAKENAWA and N. KAWAI