虚血侵襲後のスナネズミの海馬スライス標本を用いて、CA1野ニューロンの細胞膜特性への細胞内シグナルIP4の効果を調べた。インサイド・アウト及びアウトサイド・アウトパッチクランプ記録法を用いた膜電位ゆらぎ解析の結果、虚血後の海馬CA1ニューロンでは、細胞膜の内側にIP4を投与すると、Ca2+を通すチャネルが開くことがわかった。この結果は、細胞死に先だって起こる細胞内へのCa2+動員にIP4が重要な役割をしていることを示唆している。
pp.67-78
H. Tsubokawa, K. Oguro, H. P. C. Robinson, T. Masuzawa and N. Kawai