海馬スライス標本を用いて、樹状突起の興奮性調節に関わるメカニズムを探索した。高速イメージングにより細胞内Na2+濃度分布の時空間ダイナミクスを調べると、樹状突起では活動電位の発生時だけでなく、細胞が過分極した時にも著明なNa2+濃度増加が認められた。この現象はCsCl投与で抑制されることから、非選択的陽イオンチャネルを介するNa2+流入を反映すると考えられた。このようなNa2+流入が、樹状突起における興奮性調節に深く関与していることが示唆された。
pp.135-142
Hiroshi Tsubokawa, Masami Miura and Masanobu Kano