海馬スライス標本を用いて、パッチクランプによる膜電位の計測と高速イメージングによるCa2+濃度分布の時空間ダイナミクスの解析とを同時に行い、活動電位の樹状突起への伝播を調節するメカニズムを探索した。海馬ニューロンでは、樹状突起の局所的な脱分極に伴うCa2+濃度増加によりCaMKIIが活性化され、伝播が持続的に促進されることがわかった。この現象は、ムスカリン性受容体の活性化を介するものではなかったことから、細胞内シグナル伝達系による樹状突起の興奮性調節には少なくとも2つの独立した経路があることが明らかになった。
pp.4878-4884
Hiroshi Tsubokawa, Stefan Offermanns, Melvin Simon, and Masanobu Kano