カリウドバチ毒より新規に分離された神経毒であるβ-pompilidotoxin (β-PMTX)の、脳のシナプス伝達に対する効果を、海馬スライス標本上のCA1野ニューロンを標本として調べた。β-PMTXの投与により興奮性シナプス後電位が増強され、シナプス前線維のバースト活動によると考えられた。一方、β-PMTXは抑制性シナプス後電位の早い成分を抑制した。以上の結果から、β-PMTXは、興奮性シナプスにおいてはシナプス前部の興奮性を高めて伝達を促進すること、抑制性シナプスにおいては伝達物質の放出を減少させる効果をもつことが示唆された。
pp.365-371
Hidenori Yokota, Hiroshi Tsubokawa, Takahiro Miyawaki, Katsuhiro Konno, Hitoshi Nakayama, Toshio Masuzawa, Nobufumi Kawai