近年、福利厚生の研究で注目されている中堅研究者による研究書の書評論文である。「少子高齢化社会の進展」と「雇用の流動化」を背景に日本型雇用慣行が動揺し、日本型福利厚生が「解体過程」にあると指摘している本書は、企業への「アンケート調査」により得たデータを分析して、特に退職率との関係から福利厚生施策の効果を測定したことに特徴がある。
ただ、その分析にはいくつかの課題があることを指摘し、その評価と問題点を論じた。しかし、少なくともこの著書を通じて日本型福利厚生の動向の中に新たな胎動があることを見出した。
pp.67-74