本論文は、2018年12月8日に成立し、201年4月より施行された「改正出入国管理法」による喫緊の課題と外国人労働者を受け入れる企業の職場での企業福祉の可能性について論じたものである。それは人手不足の中で増加し続ける外国人労働者を「単なる労働力」と見做して就労させるのではなく、日本人労働者同様の人的資源管理を行うことの必要性について論じたものとなっている。特に職場での企業福祉施策が受け入れにおいて機能する点についてを論じているが、今日、日本国内での内なるグローバル化の進展とダイバーシティーを目指す企業が増えてきている中で、初歩的なアプローチではあっても、その配慮がない中で多くの問題が生じていることに着目している。すでに日本の労働市場において外国人労働者なくして運用が困難となってきている分野は少なくない。しかし、高度な知識や技術をもつ外国人の採用から工場労働者を含む幅広い採用が可能とされることになってからの「職場の問題」は、基本的労働条件の不備をはじめに、コミュニケーションの不足と相互理解機会の絶対的不足からなっている点を捉え、日本で古くからおこなわれてきた企業福祉施策に解決の糸口を見つける点に言及している。技能実習生の対応に心を砕く現場責任者の実例を耳にする一方で、外国人労働者に対する人間的配慮に欠ける職場の問題点の出発点においてある「素朴な取り組み」が重要である点をあえて指摘した。それは、急速に流動化している「職場の実情」を視野に改めて検討すべきだとしている。
