制度は常に時代の変化とともに見直されている。企業福祉も企業経営上の必要性や費用、従業員ニーズの変化などとともに見直しがなされ、社会保障制度との関係から制度改革が図られてきた。本論文は、戦後の高度経済成長期における生産性の向上や労使関係の安定といった労務管理上の問題意識を基礎として発展してきた企業福祉制度が、どのような原則のもとに改革を進めていこうとしてきたのかを歴史的に鳥瞰し、今後、どのような原則に基づき、どのような方向性をもって変化していくのかを検討した。これまでの日経連報告書などで世に提言されてきた原則を確認し、非正規化、女性化、グローバル経済化する時代背景の下で現場ではどのような変化が起こっているのかを明らかにしつつ、運営原則の変更が企業福祉の運営にどのような影響を与えるのかを考察した。
pp.50-55