「可能性としてのカフェテリアプラン」

社会保障改革に関する議論は、持続可能性と財源問題に収斂してきた。大勝となった昨年の衆議院選挙に続いて本年の参議院選挙にも圧勝した自民党は、2013年6月に参議院選での公約として総合政策集「J-ファイル2013」を出している。そこに示された社会保障改革に関する事項では、「安定的・持続的な社会保障制度の確立」として医療、年金等について公約が示された。そこで注目されるのは小集団医療保険制度における「カフェテリアプランの普及」に言及したことであった。本稿は、厚生省（現・厚生労働省）が過去に精力的に取り組んできたそのシステムが持つ機能の普及に関わる検討と推進過程を歴史的にたどり、職域福祉として機能してきた企業内福利厚生と大手企業を中心として組織されている健康保険組合への応用がもたらそうとしている可能性の光と影について論じた。「費用の抑制」を目的としながら、多様な従業員ニーズに対応した「自由選択」と自立自助を求める政策の両面での機能を果たす「自己責任」を二つながらに実現する可能性を持つ仕組みに一定の評価と同時に生じる問題点を指摘している。
pp.50-55

週刊社会保障（№2745）（法研）「論壇」