社会保障と雇用の問題が切り離せないことは言うまでもない。完全雇用が福祉国家建設にとって極めて重要であり、それゆえに雇用保険(失業保険)は重要な意味をもっている。わが国では人口の少子高齢化の進展によって社会保障改革が喫緊の課題となっているが、非正規労働者の増大に伴って生活の不安定化が顕著となり、一方で社会保障財政に多大な影響が及んでいる。本稿は、以上の問題意識の下で政府が提案した社会保障改革の指針を検証し、それが「溶解していく労働」をどのような視点から見ているのかを検討したものである。
pp.50-55