企業が負担する福利厚生費は、法定福利費と法定外福利費の2つから構成されている。社会保険料を中心とする法定福利費の上昇は、人口の減少と少子高齢化の影響を受けて加速度的なものとなっている。企業は、法定福利費の上昇負担を雇用の非正規化によって回避し、一方で法定外福利費の合理化を図ることによって総額人件費の抑制に努めているといえる。その結果、福利厚生費に占める法定福利費の割合は7割を超えて8割に接近し、企業の任意による法定外福利施策の展開はここにきて限界に近づきつつあるという。以上のような現象を最新の研究は「企業福祉の社会化」と定義づけている点を取り上げ、それが意味する点を批判的に検討した。
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