日本経団連が発表した福利厚生費調査結果報告をもとに、近年の福利厚生費用の動向とその背後にある企業経営や人的資源管理上の問題をとらえつつ、企業福祉がいかなる課題の解決を迫られ、具体的にどのような方向性にあるかを論じた。基本的に「企業福祉終焉論」が注目されていた一時期とは異なり、優秀な人材を求める企業の動きは、新たに企業福祉の充実に向かう方向にあり、特に新卒者向けの独身寮の新たな取得や様々なイベントが復活している現状について指摘している。バブル崩壊後の合理化は成果主義、能力主義による人的資源管理の展開から企業福祉見直しの動きが顕著となっていたが、「揺り戻し」の減少とともに、新たな所施策が登場しつつある点を展望している。
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