企業福祉は「人材の確保・定着に寄与する」として展開されてきた。もちろん、生産性の向上や労使関係の安定など様々な機能を持っていると理解されている。しかし、事業の立て直しに必死である企業の立場からすれば、リストラを進めることで生き残りをかけて取り組んでいる中で「労働力の削減」は避けられず、そして人件費を嵩上げしているコストをカットすることに躍起になっている状態からすれば、生産性を落とさずに雇用の流動性を高めることが課題となっている。本稿では、企業福祉が持っている機能と日経連の「新時代の『日本的経営』」が提示する在り方に大きな問題があることを指摘した。特に組織活力としての連帯感の醸成に課題が残ることを指摘した(企業福祉の再構築を考える(5))。
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