日経連が1995年5月17日に発表した「新時代の『日本的経営』」という報告書は、極めて強いインパクトを持って人事労務管理分野、労使関係分野、さらに社会政策分野に関わる人々にその内容が伝わった。特に企業担当者の本音は「日本的雇用慣行に動揺を与えれば、モチベーションが落ちるのではないか」というものであり、また労使関係にも悪影響を及ぼす可能性があることを懸念していた。この報告書によって従来までの雇用慣行が変わっていくとした場合、どのようなことが予想されるのか。本稿は、企業福祉が3つのグループごとに「生活援護」と「生涯総合福祉」を講じるとして区分されることに注目し、今後の可能性を論じた(企業福祉の再構築を考える(4))。
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