わが国における少子高齢化の進展は著しく、それを背景とした社会保険料率引き上げによる法定福利費の上昇は避けられない状況となっている。企業における経営管理上での人件費問題は大きく、法定外福利費の圧縮によって対応する企業が多い中、従来の福利厚生サービスを外注化することによってコストの抑制とサービスの満足度を引き上げようとする動きが強まってきた。しかし「外注化」は、コストの抑制や従業員満足度の引き上げといった効用を生む一方で、福利厚生が持つ人的資源情報の収集機能や様々な人事労務管理の効果を低下させる可能性を持っている。本報告では、これらの問題意識から福利厚生制度の外注化にあたっての効用と課題を検討した。