人生80年時代を迎えている。定年退職を60歳とした場合、平均して退職後生活が20年ほどあることになる。定年を控えた高齢従業員の関心は、在職中の問題から退職後の生活問題に向かうことになる。退職後の不安は、老後の生活費と健康の問題であり、それは公的年金と公的医療制度の問題になると言える。社会保障の後退が指摘される中、老後生活への不安はさらに膨らむばかりであるが、企業における高齢従業員は企業を引っ張っていく存在だとした場合、そこでの不安は生産性を落としかねない。「在職福祉から生涯福祉へ」というテーマは、企業福祉の在り方として以上のような背景を問題意識にもって取り組みが始まっている点を指摘した(中小企業の企業福祉(5))。
pp.30-31