「生活水準の向上で変わってきた企業福祉の役割」

（財）中小企業労働福祉協会 『労働と経営』

「ひとつ上の生活」を求める人々の考え方は、株価や地価の上昇が続く中で次第に広がり、「贅沢」が一般的なものとして認識されるようになってきた。もちろん、遠い、狭い、高いといった住宅問題の解決は重要な課題であったが、購入可能な人々が手に入れる生活環境を庶民が憧れる時代となってきた。時間的にもゆとりを求める傾向が強くなり、大企業の企業福祉は新たな展開として時間的、空間的、金銭的ゆとりに向けての方策づくりに取り組む動きを顕著に見せ始めた。企業福祉の役割は、これまで以上に高い生活水準を求める従業員の要望を受けて「ゆとりやグレードの高さ」を競うように変化し始めてきた。その様子を追いながら中小企業が同レベルの企業福祉を追うのではなく、中小企業なりに企業福祉の役割を考える必要があることを論じた。
中小企業の企業福祉（3）
pp.30-31