外国人労働者と福利厚生(9)福利厚生は、働く者のモチベーションを上げるものではなく、少なくとも低下しないようにする配慮の策である。しかし、一次請負、二次請負、三次請負といった派遣業者や請負業者の介在する構造の中で、働く者に渡る賃金の手取りは減少していき、一般的な福利厚生として提供される内容のものにさえ料金や手数料が徴収される実態がある。わずかな収入の中で生活を遣り繰りしていかなければならない外国人労働者に対して、派遣先の企業からすれば高額な費用を払っているがために高い労働意欲が求められてくる。ブラジルのサンパウロでの募集や渡航手続きを行う業者や日本到着後に迎え入れる業者がブラジル人であり、また企業に派遣する業者がそこでさらに手数料を取る構造が働く意欲に大きな影を落としている点を指摘した。
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