外国人労働者と福利厚生(5)群馬県大泉町にある三洋電機群馬工場の脇には広い駐車場が広がっている。その一部には、過去において社宅群が広がっていた。工場内に女子寮がある一方で男子寮は工場の外にあり、いずみ寮は家族用の社宅を含む場所にあった。多くの工員がこの寮から通っていたが、今では跡形もなく、残された門にだけ「いずみ寮」という名前が残っている。朝の工場の周囲は通勤する人々で賑わう。その中にこの工場の寮には入れない外国人労働者の姿がある。彼らは賃貸アパートから個別に歩いてくるか、派遣元企業の小型バスで送迎されてくる。工場内で働く多くの外国人労働者は派遣業者が借り上げたアパートに住んでいるが、1室に複数が入るか、狭くとも安くはない費用を払っての住宅は、福利厚生として機能するわけではない。直接採用ではないところの問題が横たわっている点を論じた。
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