社会保険は、被保険者の減少と少子高齢化の影響を受けて今後、深刻な財政状況に陥ることが予想されている。さらには雇用の多様化の進展による若年層の非正規化が厚生年金保険、また健康保険の加入者を減少させ、社会保険システムを大きく動揺させる要因となっている点をデータを基に検証した。企業が負担する法定福利費の負担増は国内企業の海外進出を促す要因となると同時に、製造業の減少が国内におけるサービス経済化を推し進めることになる点を指摘した。もちろん、サービス化の進展は賃金上昇率を低減させる問題をもたらし、このことが社会保険料収入を減少させるというマクロレベルでの悪循環を生み出す点を論じている。
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