「人的資源管理と企業福祉制度」

日本労務研究会編 『労務研究』 №705

わが国における企業の人的資源管理は、日本的雇用慣行の変容を受けて能力主義、成果主義を前提にした運用へとシフトしている。1990年代半ばからの変化を確認するなかで、企業福祉制度にもまた顕著な変化が見られる。その背景に少子高齢化、経済のサービス化、情報通信技術の進展があることは言うまでもなく、最大の要因は社会保障財政の将来的見通しが厳しいなかでの企業の社会保険料負担の上昇である。同時に従来の企業福祉に求められていた役割に次世代育成支援、CSR（企業の社会的責任）の観点から新たな役割が求められつつあることも指摘できる。この指摘はワークライフバランスの必要性を訴えるもので、企業福祉が担う役割が新たな段階に入ろうとしている点を論じている。
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