終身雇用制や年功序列型処遇を特徴とする日本的雇用慣行が大きく揺らぎ、雇用の流動性が高い不安定な社会が出現している。その中で働く勤労者の多くが不安感や不満感に苛まれている。厳しいリストラの中で、結果的に企業経営と働く者に多大な問題をもたらす社会で「リスクの縮減」を図るにはどのようにすればよいのか。本稿では、国の政策や企業経営が勤労者個々のライフデザイン形成を支援する必要性を指摘する一方で、雇用の流動化が著しい社会での「労働福祉システム」を流動化に対応した「ネットワークシステム」として再構築するための考察を試みた。
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