金融資本のグローバル化とIT・AI化の加速化の流れの中で「新たな暴走」が始まっている。本論文は、そこに「複合危機」が生じていると指摘した。すなわち、より流動性の高い「新たなリスク」が生じつつあり、転換期特有のバブルが生じていることに注目した。コロナ禍における停滞がもたらした鬱屈は、その過程での規制からの解放によって一気に世界を駆け巡り、高い流動性とともに「より多く」を内に秘めて資本が多様な動きをしている点に注目した。近年で言えば、2008年のリーマンショック以降、金融資本の暴走は顕著となり、それまで以上にリスクを顧みずに動いている。日本国内ではアベノミクスの副作用が予想通りに負の連鎖を生みつつあり、国民生活に大きなしわ寄せが生じている。労働組合の立ち位置は、「働く者の生活の維持と向上」にあるが、そこに「豊かさ」をテーマに持ってい来ることが次第に難しくなってきた。労働組合が「運動体」としてある時、唯一、あらゆるチャンネルでのコミュニケーション能力委の高さが重要になってくる点を指摘した。そこには丁寧に、慎重に時代を分析し、落ち着いて丁寧に態度を決めていく在り方が求められていることを提示した。