その他

基本情報

氏名 園田 洋一
氏名(カナ) ソノダ ヨウイチ
氏名(英語) Sonoda Yoichi
所属 総合マネジメント学部 産業福祉マネジメント学科
職名 教授
researchmap研究者コード
researchmap機関

タイトル・テーマ

社会保障制度への不安と企業の対応

単著・共著の別

 

発行又は発表の年月

201908

発表学会等の名称

共済新報 第60巻第8号(共済組合連盟)

概要

急速に進む生活環境、労働環境のもとで様々な制度が機能不全を起こしつつある。それは特に社会保障制度において著しいが、長年にわたって実質賃金は横ばいか下降気味であることに加え、雇用が著しく不安定化し、低賃金化していることに根本的な問題がある。その一方で急速な少子高齢化が進む中での医療や年金の見直しが示唆され、そのたびに国民の社会保障制度に対する信頼感が低下していることにも不安を強くさせる要因がある。不安は、従業員が抱える「生活リスク」が具体的な問題として迫ってくることを意識することで広がるものであるが、これら多様なリスク(危険)の中で企業が抱えることになる深刻なリスクもある。その一つが「介護離職」の問題である。男性女性に限らず、中堅から上層層部に至る重要なポストに就く従業員も、親の介護を理由に退職を余儀なくされる問題が多方面にわたって見られるようになってきた。これまで隠れた重大問題となっていたが、すでに多くの企業の職場で生じているものであり、女性に多かった老親介護を理由とする退職は、今日では広く男性にも広がり、企業にとって働き盛り、もしくは経験豊富な従業員の退職が極めて重要なリスクとなってきている。本論文は、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を有する国民に、適切に対応するはずの社会保障制度に様々なほころびと後退傾向が鮮明になってきたことを背景に、社会保障制度に不安を持つ従業員に対する対策を企業が企業福祉として展開する状況を論じた。それは「不安」にとどまらず、その「対策」が不十分であると判断された場合には「仕事」をとるのではなく、「介護」を選択せざるを得ない実情と意識の変化が生まれてきていることに着目する。本論文は、西久保浩二山梨大学教授の研究をもとに企業の対応の現状と今後を検討したものである。