本稿は、まずこれまで重ねて指摘してきた「生活者にとって厳しい環境変化の進行」を改めて取り上げ、為政者たちがそれを大きな問題としないこと、すなわち問題化しない態度をとり続けることに焦点を合わせている。その先に「誰も責任をとならない事態」が始まっていることをも指摘し、マスコミが追及しなければ隠蔽でき、有無を言わせぬ強引さによって政治が自らに都合のいい環境づくりを始めていることについて論じている。国民の多くは気づかぬままに来ているのではないかという問題提起である。ここでは「結論ありきの議論」や「結論のための議論」に終始することで話を進めようとする政治の在り方に疑問を投げかけているが、結果的にその暴走が加速化している点を批判した。
pp.34-35