「現実を直視しなければならない時がきている」

労働開発研究会 『労働と経済』 №1587

本稿は、今日、トマ・ピケティ著『21世紀の資本』が話題を呼んでいる点に着目し、その内容に注目が集まっている背景と今日の我々に何を示唆するのかを検討している。少なくとも「世界的な規模で経済格差が進んでいる」という現実を直視しなければならないこと、また経済格差の拡大に対する対策を世界的な規模で講じなければならないことについての提案には、今日の国民の中にその本質を見極めようとしている動きが顕著となっていることが伺える。ピケティ以外の経済格差問題や希望喪失をテーマにした文献も数多く出版されているところからその内容を確認し、わが国の為政者への批判が現実的な裏付けをもって指摘されている点を論じた。
pp.34-35