本稿は、安倍政権発足後に行われている様々な政策が中小企業の経営や国民生活に多くの影響(不安定性)をもたらしていることを指摘し、そこでの構造的問題を抱える中で労働組合としていかに「連帯」を機能させていかくという課題について論じている。過去におけるユニオンアイデンティティを模索した時代や福祉重視を打ち出す中で「連帯の機能軸」を組合員に示してきた労働組合は今後どうするべきか。アベノミクスが目指している「デフレ脱却」がもたらす副作用は賃上げどころではない事態を生じさせる可能性が大きく、そこでの労働組合としての新たな機能軸をどう示せるかが問題になるとした。古くて新しい課題である。
pp.29-31