本稿は、近年における資本主義経済の限界をアベノミクスの具体的事例から引いて指摘し、同時にその裏で進められている政治的展開について問題点を指摘している。その上で労働組合の運動と立ち位置をしっかりと見据えての運営が必要であることを論じたものである。政府がアベノミクスと称して展開する経済政策の効果についてはかなり懐疑的な視点から見ているが、その裏付けとなる問題点の内容を一つ一つ取り上げ、整理して論証している。総理大臣による賃金引上げの呼びかけは異例中の異例であるが、時代の趨勢から企業も生き残りをかけて安易に政府の言いなりにはならない点を指摘し、労働組合も慎重に見据えていくことの重要性を論じた。
pp.31-33