本稿は、わが国における特定秘密保護法の成立を取り上げ、「閉じていく社会」とそこでの「影」の可能性について論じている。たとえば労働組合の活動に制限が加わる可能性はないとは言えない。今回の特定秘密保護法の成立過程は極めて不透明な部分を数多く残したままでの強行採決となり、政府の責任を隠蔽する可能性からマスコミを弾圧する問題を含むあらゆる社会問題に波及する可能性を持っている。それは自由な表現に制限を与えるものであり、労働組合運動、さらに自由社会を脅かすことを「時代の風を読む」という表現をもって指摘した。
pp.30-32