わが国におけるメンタルヘルス対策は、1980年代から始まる急速な情報技術の革新的進展の中で急増していく。それは職場での仕事のスピードが速くなっていくことに、ついていけない人々の適応障害に対する企業の対策であったが、職場で求められる仕事のスピードばかりでなく、人間関係や情報過多の時代にあって「心の病」は複合的な要因によって発生し、学校や家庭にも広がってきた。休職し、退職していく優秀な人材の脱落は、企業にとって大きなマイナスであり、働く者にとっては労働能力の劣化、低下、喪失を意味し、大きな問題となっている。その対策の重要性は言うまでもなく、労使の真剣な取り組みが必要であることを論じた。
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