新自由主義の考え方が広がり、社会変動が激しくなっていく時代にあって、様々な分野において混乱が生じてきた。それは国民生活に大きな動揺を与え、新たな格差を生み出している。本稿は、規制緩和がなされる中で次第に進む社会政策の機能低下に着目し、それが社会にもたらす動揺をさらに顕著にするであろう点に懸念を示し、「安定装置」としての社会政策、社会保障を改めて再構築する必要性を論じた。それは今日論じられている「自己責任論」ではなく、社会全体でカバーしていく道を今一度検討することから始まる点を指摘した。
pp.14-15