社会政策はなぜ生まれてきたのだろうか。時代を振り返り、その根本的な要因となった問題を指摘すれば、今日、同様の問題が多発している現実に突き当たる。改めてその現実を確認すると明らかに「社会政策の後退」が見て取れる。それは最低限の生活を保障するはずの法律でさえカバーしていない、もしくはカバーしない現実がある。問題は、さらにその幅を広げようとしている政治的後退がある事実だろう。雇用の流動化を政策的な目的として取り組まれている施策には、解雇が第一の目的と見られても仕方のない様子が伺える。本稿は、そこにわが国の今日の政策的特質があるのではないかと指摘している。
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