老親介護を理由に職場を去る者が増えている。働きたくとも社会保障による支援の垣根は高く、「自分で面倒をみたい」とする思いをもつ者の意志を無視することもできない。中小企業などからすれば、長年務めてきた従業員の突然の退職は簡単には埋め合わせが効かず、経営上の大きなリスクになるとさえ言える。それは大企業にも言えることではないだろうか。特に優秀な女性従業員の退職が目立つ中で、この問題に労働組合はどう向き合うのか。法的措置は最低限のレベルであり、いつ終わりがあるのかわからない介護の問題を抱える組合員は今後必ず増加していくものと思われる。本稿は、介護問題の困難性を指摘するとともに、労働組合への問題提起として論じた。
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