情報通信技術の革新的発展は、その後の金融市場に大きな影響を与えた。それは瞬時にして世界を飛び回る資本主義の本質的な影響である。いわゆる「マネー」が世界を席巻する時代にあって、カネだけでなく、ヒト、モノ、技術・情報も越境し、世界を駆け巡る。経済のグローバル化の中で、我々の労働や生活は為替相場や株価などによって大きく塗り替えられていく。企業の合併、買収、切り売りされて解体される在り方は、そこに働き、暮らす人々の在り方を一瞬してに変えていくのである。本稿は、そうした時代を鳥瞰し、正しく認識する力量が労働組合に求められている点を指摘し、企業側にしっかりした経営を求め、組合員の生活を守る原点を再確認することを論じている。
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