バブル経済期における公的年金の運用実績は極めて良好であった。そこでは企業年金や労働組合の年金制度も順調に実績を伸ばしていた。しかし、バブル経済崩壊後における金利の低下は、予定していた給付を下回る実績しか残せない可能性が生じ、それ以前に少子高齢化の進展に伴う人口構成の変化によって「世代間ギャップ」が生じてくる可能性が出てきた。すでに年金研究者から指摘を受けてきた問題であったが、金利の低下による運用実績の低迷がこれらに拍車をかける状況の中で改革迫られてきていた。本稿では、社会保障の中心的制度の1つである年金制度の改革を見つめながら今後の社会保障制度の方向性を展望した。
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