著しい速さで進む人口の高齢化の下で、年金、医療の問題が深刻化してきたことは言うまでもない。社会保障の分野では保険料の引き上げとともに給付の抑制を意図した法改正が繰り返されてきている。その中にあって、老人の一人暮らしや孤独死が社会問題となり、老老介護の問題は大都市に就職をして暮らす中高年サラリーマンの大きな課題となってきた。もちろん、労働力不足から女性の社会進出を阻むものとして介護問題に対して社会的支援の必要性があることも指摘されている。本稿では、筆者がドイツにおける介護保険制度の生成過程を見てきた経験から、わが国における介護保険制度の創設に向けて取り組みが始まっている中でその可能性と展望を論じた。
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