人口動態調査から興味深いわが国の未来像が見えてくる。少子高齢化は「子ども」が少なくなり、一方で老人と呼ばれる「高齢者」が急増していくことを意味している。これを経済学的に見れば、教育課程を経て社会に出ていく若年層の減少が、その後の自動車の購入や結婚、教育や持家、その他日常品の消費量を急激に減少させるものとなり、わが国の国内消費を次第に低下させていく要因になる。高齢者への社会保障費用の投入が増える一方で、財源の問題は深刻となり、社会保険料を負担する企業はそこからの撤退を選択する可能性が高くなってくる。社会保障制度は「相互扶助の連帯的組織」として認識されているが、そこでの問題は、未来に悲観的な目を向けざるを得ない大きな問題を抱えていると言わざるを得ず、そうした社会の行方を見定める中で労働組合運動の在り方を検討する必要がある点を指摘した。
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