介護問題は予想以上に深刻化している。老老介護が社会問題となり、独居老人が問題となってきた。また家庭介護での負担が妻や娘に集中し、女性の社会進出や有効活用が脅かされる事態となってきている。働く組合員が老親介護のために会社を辞め、労働組合を去っていく在り方は、働く者は言うまでもなく、企業にとっても労働組合にとっても大きな問題だと言えよう。社会全体が高齢化対策に取り組もうとしている状況の中で、労働組合の中には老人福祉施設を単独で所有し、組合員の老後をも視野に入れた組合員支援をしているところも現れ、新たな様相を呈している。本稿は、高齢化社会における労働組合の一つの在り方を論じたものである。
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