時代は大きく変化し続けている。これまで常識だと思われてきたライフサイクルも変化し、結婚をしない、子供を持たない、新しい家を持たない。よって教育費や住宅取得の頭金も貯めず、必要なのは健康を損なった時に必要な医療費や健康維持のための費用、そして老後生活と介護のための費用という話になる。従業員のライフイベントの変化は、混沌とした時代において様々なリスクが生まれてくることをも意味する。「不透明な時代にライフプランを立てても意味がない」とする者も現れるが、不透明だからこそ必要最低限の備え、また個人の状況別のリスクに備えたライフプランを検討していく必要がある。そして労働組合にとっては、多様な選択肢のある人生を前提にプランを提示し、その下支えとなる支援資源をわかりやすく見せていくことの必要性が重要になってきた。そこに新たな「生涯総合福祉ビジョン」の必要性が見える時代となってきたことを論じた。
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