1973年の第1次オイルショックによってわが国の高度経済成長は終焉を迎えた。わが国は強力な減量経営と技術革新によって息を吹き返し、他国で大きな打撃が生じた1979年の第2次オイルショックを比較的穏やかに乗り越えていった。そこで注目されるのは企業の対応であった。労使関係において協調路線を取り、苦難を乗り越えたとされる点である。もちろんその在り方には多くの問題があったことも指摘されている。本稿では、この時代における福利厚生改革と今日展開されている福利厚生改革を比較することを通して、その本質的な違いは何か。またそれはなぜ生じているのかを検討した。そこに見えてくるのは労使関係の力学的不均衡であり、労働組合の弱体化であった点を指摘した(労働福祉の世界(12))。
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