急速に進む少子高齢化を背景に社会保障費の膨張は続いていた。それは企業が負担する福利厚生費(法定福利費)の急増となって表れていた。企業は限られた予算の中で従業員の多様なニーズに対応する方法を模索してきたのである。従業員のニーズの多様化に多くの企業労使が答えを出しかねている中で、厚生省の研究会によって提案されてきたカフェテリアプランは、「選択」と「自己責任」をキーワードにした仕組みであり、そこに与えられた資源の中での「最大満足」という解決法ではないかと期待された。もちろん、このシステムにはコストはもとよりオペレーションの問題が課題としてあった。本稿は、この議論における労使の反応、研究者の検討を風景として見ながら本質を追究しようとしたものである(労働福祉の世界(11))。
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