バブル経済崩壊とともに好景気の中で組み立てられてきたシステムは機能不全を起こし始めた。混迷するわが国経済の動向を明確に読み取れない中で金利の低下や不動産市場の低迷は、多くの人々の生活設計を狂わすものとなった。人手不足の中で優秀な人材の獲得を目的に競い合ってきた企業福祉の充実は見直しへと舵が切られ、ライフプランの普及は継続されたものの、その内容のベクトルは新た方向性を示すこととなった。本稿は、1990年代初期における企業福祉施策の潮目の変化と混迷を鳥瞰しつつ、ライフプランがもつ身の変容を論じた(労働福祉の世界(7))。
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