「企業福祉は大企業において可能であり、中小零細企業には出来ない」との認識が広くある。そこに「格差論」が生まれ、常に不平等との評価がある。そもそも企業の福利厚生における「格差」とはいかなる理由から生じてくるのか。規模間格差は間違いなくあるが、それは支払い能力や必要性、スケールメリットや税制の問題などから説明ができる。しかし、1980年代後半からの急速な環境変化と格差拡大は、大企業と中小零細企業に働く従業員の間に大きな格差をもたらし、国民の大きな不満の種にともなった。本稿では、この格差拡大の要因を社会経済的な面とともに企業福祉の中にある構造的な面から論じ、分析した(労働福祉の世界(6))。
pp.26-28