職域福祉の分野で「生涯総合福祉」の考え方を明確に打ち出したのは藤田至孝氏と桐木逸朗氏の2人の研究者である。特に藤田氏が著した「生涯総合福祉プラン」(産業労働調査所)は、数多くの企業労使に読まれ、理論的なバイブルとして多方面で活用された。桐木氏もまた具体的なビジョンの策定方法を著し、実務的な面での指導を数多く行ってその普及に貢献した。本稿は、生涯総合福祉プランの構造と理念の中に埋め込まれていた「ライフサイクル論」を論じつつ、その内包が企業福祉の再構築にいかなる意味を持ったかを明らかにした(労働福祉の世界(5))。
pp.26-29