1973年の第一次オイルショックをきっかけに、わが国経済は急速に不況へと入っていく。企業はその後、減量経営を図る一方で省エネルギーを目指した技術革新に力を注ぎ、この難局を乗り切ろうと努めた。この時代の労働福祉は、総人口に占める65歳以上の人口が7%を超え、本格的な「高齢化社会」に入ったことをきっかけに福祉の問題への議論が活発に行われるようになった。労働福祉もまた例外ではなく、社会保障の見直しを待たずに企業福祉の合理化が様々な議論の元に変動を始めた。この間における文献を中心に、何が議論の中心となっていたかを取り上げ、学問的な意味での位置づけを検討した(労働福祉の世界(2))。
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